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♪踊り疲れたディスコの帰り・・・
さすがに電信柱には染み付なかったが・・・。
今から30年程前、ススキノは南4条西3丁目の角、現在のミスタードーナッツの
前で、深夜帰宅しようとタクシーを待っていた。
と、突然「たぁーさん!たぁーさん」と、懇願するように叫ぶ女性の声に
思わず振り向いた。
ホステス風のチョット見いい女だ。
「たぁーさん」と、呼びながら中年男性を追いかけているのだ。
たぁーさんは酔っている様子だった。
  追いついた女性は、「たぁーさん」と腕に縋ったが、その手を振り払うや。
「うるせぇーな、この野郎!」と怒鳴り付ける否や、たぁーさんはいきなり
女性の頬にビンタを喰らわした。ビシ、ビシと音が伝わって来るような勢いだ。
それも左右の両頬に張る、俗に言う「往復ビンタ」である。
そのビンタを間近で見せられ、「オオー!」と感嘆の声を胸内であげた。
 そうだ、ジュリーこと沢田研二さんの、大ヒット曲「カサブランカ・ダンディ」だ。
♪聞き分けのない女の頬を ひとつ ふたつ張り倒して 背中を向けてタバコを
吸えば他に何も言う事はない・・・の歌が浮かんできた。
週末に大勢の人で賑わうススキノのど真ん中で、人目をはばからぬビンタ。
それも往復ビンタである。
その、外連身(けれんみ)の無い往復ビンタに「お見事!」と、拍手を送りたくな
るような「天晴(あっぱれ)れ天晴れ!」と、誉めてもほめきれぬ、
素晴らしいビンタ。日本一のビンタ。
否(いな)!ここまで来たら言わせてもらおう。「世界一の往復ビンタ」だ。
あの往復ビンタを、もう一度見たいのだ。



 もう一度見たいものと問われたら。
‘07パリーグクライマックスシリーズ第5戦でのセギノールの3ランホームラン
だ。
ファイターズVSマリーンズが2勝2敗で迎えた最終戦、
ダルビッシュと成瀬のエースを先発に立て、両チーム必勝体制で挑んだ一戦。
共に負けられない意地と意地、プライドとプライドが激しくぶつかり合う試合と
なった。
しかしファイターズは今シーズン16勝1敗の成瀬に完璧に押さえ込まれていた。
「ひょっとして、やられる・・・のでは?」の一抹の不安を胸に抱き。
「いやダルが、きっと・・・」と、その不安を自分に言い聞かせるように打ち消した。
3回裏、賢介の四球、稲葉の当り損ねの内野安打で1、2塁のチャンスで
4番セギノールの巨体がバッターボックスに入った。
しかし、今シーズンのセギノールはまったくの打撃不振。
札幌ドームとテレビ観戦のファイターズファンは「また三振だべ」と諦めにも似た
気持ちであった。
しかし成瀬の投じた沈むスライダーをすくうように打ち上げたセギノールは、
その瞬間「ウオー!」と獣にも似た叫び声を発し、打球は美しいまでの放物線を
描いてバックスクリーンの左横へと吸い込まれた。
その瞬間、札幌ドームは42,222人の観衆の大歓声に包まれた。
知り合いの女性は「一週間前に息子の結婚式があったけど。あん時より
感動したよ」といみじくも語った。
プロ野球でのホームランを今まで何回も見てきたが、
このセギノールのホームランほど、鳥肌が立つほどの思いを感じたことはない。
あのホームランをもう一度見たいものだ。



 そして、今も記憶にも新しい冬季オリンピックトリノ大会での、荒川静香さんの
女子フィギ史上、最も華麗に、最も美しく、最も優雅に舞ったゴールドメダルの
スケーティングだ。
日本の女子フィギアスケートが悲願の頂点に立った時であった。
ヨーロッパのマスコミは荒川静香選手を「アジアン・クールビューティー」と、
その美しさを賞賛した。
彼女のしなやかなスケーティングの美しさを最も表現した、
あのイナバウアーをもう一度見たい。



 しかしだ!それよりも、たぁーさんの往復ビンタだ。
なんとしても、もう一度見たい。録画しておけばよかったと思うほどである。
誤解しないでいただきたい。なにもビンタを奨励しているわけではない。
もちろん暴力は反対である。だが、たぁーさんのビンタは暴力ではない。
 そうなのだ!そのビンタを見たとき、たぁーさんはこの女性が好きなんだ、
と直感したのだ。
「なんで?」と問われても返事に窮すが、そう直感したのだ。
彼女の左頬を張った一発目のビンタで「俺はおめえに!」と叫び。
右頬を張るビンタで「惚れてんだよ!」と、告(こく)っていたのだ。
その証に、彼女は張られたビンタを真顔で受けたが、「何で殴るのよ!」と
言い返すどころか。すぐに「たぁーさん!」と、縋りついて行ったではないか。
往復ビンタを張った、たぁーさんとビンタを物ともしない彼女。
サッカー・ワールド・カップドイツ大会での「ジダン怒りの頭突き」とは違う。
たぁーさんのビンタには「愛」があった。
彼女がたぁーさんに、何か気に入らぬ事でもしたのだろうか。
たんに痴話喧嘩だったのか。ビンタの事情は知る由も無い。
それは、ほんの十数秒の出来事だった。
別になんの意味も無い、男と女の人生の一場面を見せて、たぁーさんと彼女は
ススキノの人込みの中を、もつれるように絡み合い背を見せて去っていった。
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