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「タロット」

ロッテリア・ススキノ店の客席をガラス越しに、見るとは無しに顔を向けた。
テーブルを挟んで、若い女の娘2人が中年男性の捲るタロットカードを真剣な眼差しで覗き込んでいる。
女の子達は、時折笑みを浮かべながら男性の話に聞き入っている。
傍から見ると、タロットの暗示に呪縛され己を操られている様だ。
何を占っているのだろう、将来の事、金運だろうか?若い女の娘の事だから、きっと「恋占い」だろうな。
彼女達の願い通りに、タロットカードは占ってくれるのだろうか。


「どこまで・・・」

店の営業を終え、戸締りをした。と、右手にある、非常ドアが“バタン”と、大きな音を立てて開いた。
と思ったら、長髪の若い男性が、行き成り飛び出して来て、右から左へ何かに追われているように、
必死の形相で走り去った。「何だべ!」友達とふざけ合って、鬼ごっこでもしているのか?と思った刹那。
又非常ドアが、さっきよりも大きな音で“バタン”と、開いたと思ったら、
中年のお巡りさん2人が飛び出して来た。
「コラ待て!」と叫んで、さっきの若い男性を、ハッチャキになって追い掛けている。
逃げる若者と、追うお巡りさんを右から左へ、顔を右左に2回振って見ちゃったよ。
まるで映画のワンシーンの様な「アッ!」と言う間の出来事に唖然。
あの若者は何をやらかして、お巡りさんに追われているのか。いったい、どこまで逃げるのか。
もっとましな事出来ねえか。


「どっかに行かない?」

店の営業を終え、戸締りして表通りにでた。春先の夜中12時過ぎなのに、大勢の酔客が行き交う。
週末の土曜日、ススキノはこれからが愉しいのか・・・。
駐車場へ向かう途中、コンビニのネオンに照らされて、赤い毛糸の帽子を被った、おばあさんが歩いて来た。
満面の微笑み浮かべて「コンバンワ」と言う。
あれ!俺に言っているのかな?そのおばあさん微笑みながら、又「コンバンワ」と言う。
あれ?どっかで会った人かな。
以前勤めていたホテルの、洗い場のおばちゃんだったかな?と、考えていると。
「どっかに行かない?」と言う。
怪訝そうな顔をすると、又「どっかに行かない?」と誘う。
「何処に行くのさ?」と言うと。そのおばあさんは、自分の言った言葉を忘れたかの様に。
無垢な微笑みのまま、横を素通りして行った。
呆れた気分で見送った。
「変なババア!」と、胸の内に吐き出し、もう一度振り返って見た。
赤い毛糸の帽子が、ゆらゆらと人波に浮かび、「どっかに行かない?」と云う様に揺れていた。
誘いに乗って、あのばあさんに付いて行ったら、どこへ連れて行かれたのだろう?
それにしても、怪しいばあさんだ・・・。


「ママの名言!」

ススキノにスナックと言われる店は、いったい何軒あるのだろう?
バブル期絶頂の頃は、それこそ雨後のタケノコの様に、我も我もとスナックが開店営業された。どこのスナックも、それなりにお客さんが入り「我が世の春」を謳歌していた。
それも今は夢の後の様に閉店。
入店していたビルは、空き店舗ばかりが目立つ、まるでゴーストタウンの如き有様だ。
♪まわる、まわるよ時代は廻る!中島みゆきさんの唄ではないが、時代は良くも悪しくも移り変わるのだ。

以前は、スナックではなくて「BAR」であった。
キレイなママとお姐さんを横に座らせて、カウンターの向こうでバーテンさんが、シェーカーを振って
カクテルをグラスに注ぐ。大人な雰囲気で、若い頃は憧れたものだ。
しかし、バーテンさんやお姐さん達の人件費、店の豪華な内装など経費が掛る。
そこで、ママ(もしくはマスター)と女の娘(若くてカワイイの!)で手軽に営業出来て、
お客様もポケットマネーで飲める店で、「スナック」が出現してきたのだ。

BARとかスナックには行かない。
何故ってタバコの煙がイヤなのだ。人の吐き出したタバコの煙を吸わされる事ほど、腹立たしい事は無い。
それにカラオケで酔ったオヤジの得意そうに唄うのを聞かされると「この禿げオヤジめ!」と殺意を感じる。
そんなオヤジたちが唄うのは、何故かシナトラの「マイウェイ」と谷村新司の「昴(すばる)」なんだよね。
下手なクセに、上手い振りして唄うからイヤミになる。

そんな奴がほんとに居て、そのオヤジが唄い始めると「ママお愛想!」と言って、店に居る客が全員帰るそうだ。でもそのオヤジ、自分は唄が上手いと思っているから、人に聞かせたがる、余計に始末が悪い。
唄い方がくどくて、和製ポップスも演歌調になるから「嫌味ダラケ」で聞くに耐えないらしい。
その店のママ、よく蕁麻疹(じんましん)が出るんだよ。
原因は分からないらしい・・・。

だけど、唄声を聞いていると、その人となりが伝わって来るね。
あー、この人は、相当ストレスが溜まっているなとか。
お金出しても、聞きたくなるほど、上手い人もいるね。
あるスナックのママはお客さんがカラオケを唄い終わると、必ず「ウマーイ!」と、囃すのだ。

まあ、たいして上手くない唄でも、そこは客商売だ。ヤッパリ「ウマーイ!」とおだてるのだ。
カウンター席の中年女性のお客さんが、山口百恵さんの「秋桜(コスモス)」を唄った時の事。
この唄が「ヒドイ」、なにがヒドイってとにかく調子ぱずれ。
カラオケの音程が高過ぎるから声が出ない。
唄い出しの♪薄紅の・・・から、鶏が首絞められたような声だ。
♪そんな小春日和の・・・のサビなんかは「ヒィー」と声が裏返って「あんた大丈夫?」と
聞いている方が心配になって来る。
途中で止めればいいのに、そういう人に限って最後までガンバって唄うよね。迷惑だ!

しかし、別なことが気になりだした。
この下手な唄「秋桜」が終わったらママは、いつもの様に「ウマーイ!」とおだてるのか。
もしも、もしもだよ!そんな事言ったら、逆に「嫌味ダラケ」だべ。
唄が終わった。水割りのグラス片手に、ボックス席の片隅でママの一言を待って、聞き耳を立てた。
「この歌、いい曲だもんね!」なるほど、そう来たか!唄がダメなら曲を誉めろか。
長年スナックを営んできたママだ、これには畏れ入りました。
ママの名言、さすがに「ウマーイ!」
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