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映画「フレンジー」1972年公開作品

スリラー映画の巨匠 アルフレッド・ヒッチコック監督の、最後から2番目の作品である。
アメリカでの映画作品が多かったが、久々に故郷のイギリスに戻りロンドンを舞台にした作品である。
「ヒッチコックはもう・・・」と囁かれ、評価を落としていた時期だったが。
このフレンジーが公開されるや「さすがにヒッチコックだ!」と再び評判を取り戻した作品でもある。


スリラー映画に料理となると、「うーむ!」どうもストーリー的に必然性がないのか、あまり登場しませんね。
料理が登場しても、テーブルに置かれただけのシーン程度で、なんの料理かわらないような扱いである。
しかし、この映画では“クラッシック”なフランス料理が実に効果的に登場します。
クラッシック料理と言いましたが、39年前の映画なので、公開当時は「モダン」だったでしょう。


ストーリーは犯人探しではありません。犯人は最初から分かっていて、警察がどうやって犯行を証明し逮捕するか。
犯人に仕立てられた主人公の無実は明かされるのか・・・がストーリーの焦点です。 
ヒッチコックの映画には、監督自身が必ずワンシーン登場します。
これもヒッチコック映画を観る楽しみのひとつで、この映画ではどのシーンに登場しているでしょう?


ロンドンのテムズ河岸に、全裸女性の絞殺死体が打ちあげられる。
レイプ後にネクタイで絞殺する連続猟奇事件の女性犠牲者がまた一人・・・
主人公のブレイニーは英空軍で活躍した英雄であったが、今はうらぶれた生活を送っている。
住み込みの勤め先のパブで、店長に「盗み酒をしている!」と誤解され、同僚の女性バーバラは庇うが、
ハラを立てて店を飛び出してしまう。

行くあてもなく友人ラスクが勤める青果市場へ寄る。
パブを「クビになった」と言うと、ラスク(実は真犯人)が「別れた奥さんに相談したら?」と、
同情してお金を渡そうとする。ブレイニーは「給料はもらった!」と見得をはり受け取らない。
ラスクは「困ったら、頼って来い!」と親切誤かしに言う。
そうしてブレイニーがパブに寄るのだが、そこで「ビールだ、ブランデーだ」と、イギリス人は昼間から酒飲んでいるのだ?
なんとも羨ましい限りであります。


ブレイニーは別れた妻のブレンダが営む「結婚相談所」を訪ねる。
話し込むうちに、クビになった苛立ちでつい大声でブレンダにあたってしまう。
ブレンダは隣室で聞き耳を立てている受け付け秘書に気を遣い帰宅させる。
強がってはみたが行くあてもないブレイニーは、救世軍ホステルのベッドで寝る始末だ。
しかし、隣ベッドの老人にコートのポケットから金を抜き取られそうになる。
それはブレンダが内緒で入れてくれたお金だった。


ラスクは結婚相談所に、昼食で秘書が居ない時を狙って、ブレンダをレイプしネクタイで絞殺する。
殺害後にブレンダのバッグから金を盗み、何食わぬ顔で相談所を後にする。
とそこに、ブレイニーがやって来るが、相談所のドアにはカギが掛っていて引き返す。
が、昼食から戻った秘書に目撃され、ブレイニーは強盗殺人犯として指名手配される。
捜査を担当するオックスフォード警部が、犯人ブレイニーの特徴を秘書に聞くのだが、その観察眼の鋭さがスゴイ。
「仕事柄 男性には目を光らせています」の返答には、さすがの警部も脱帽である。
この秘書中々いい味を出していて面白い。

そうとは知らないブレイニーは、勤め先だったパブに電話して、バーバラに「置いてある荷物を持ってきて欲しい」と頼み待ち合わせる。
ブレンダに貰ったお金でブレイニーは2人でホテルに泊り込む。
しかし、新聞を見たホテルのフロント係が、警察に通報するが、間一髪逃げ出すのだった。
お陰でバーバラはパブに遅刻してしまい、店長と口論になり店を飛び出すが、住み込み働きで行く先がない。

そこに居合わせたラスクに自分の部屋を使えと誘われ、彼女も絞殺されてしまう。
ラスクは、その夜袋詰めにしたバーバラの死体を、ジャガイモ運搬のトラックに放り込む。
死体を始末して満足げに引き返すラスクだったが、部屋に戻ると胸に刺したタイピンが無くなっている事に気が付く。
クビを絞めた時に、苦しんだバーバラがもぎ取ったのだ。慌てたラスクはトラックに戻り、死体を入れた袋を開ける。
走り出したトラックの荷台で、死後硬直したバーバラの握った指を折り、タイピンを取り戻す。
このシーンでは死体とジャガイモが入り混じり、ラスクの必死の奮闘振りが観ている側も汗ばむほどだ。
あまりのハッチャキ振りに犯人ラスクの心情になってしまいます。
口笛を吹きながらトラック走らせる運転手のお気楽さと、ラスクの真剣さが対照的で面白い。
殺さなければあんな苦労しなくても・・・ラスクさんご苦労様!
ドライブインで停車したトラックから、ラスクはようやく逃げ出す。
深夜トラックは走り出し、開いた袋からジャガイモとバーバラの死体が道路に転がり落ちる・・・
ブレイニーはホテルで一緒だったバーバラの殺害犯人にもされてしまうのだ。


行き場を失ったブレイニーは青果市場のラスクに救いを求める。
ラスクは親切そうに自分の部屋にかくまうが、ブレイニーのバックにバーバラの服と所持品を入れ、警察に通報し逮捕させる。
裁判で終身刑の判決を受けるが、「俺じゃないラスクだ。殺してやる!」と叫ぶ。
ブレイニーの声に釈然としない思いの、オックスフォード警部は、改めてラスクの捜査を始める。


ブレイニーは刑務所で故意に階段から落ちケガを装い脱走する。車を盗みラスクのアパートへ向かう。
忍び込もうとするラスクの部屋の鍵はなぜか開いている。ベッドで寝ているラスクに鉄棒を振り下ろす。
手応が変だと感じてフトンを剥ぐと、ネクタイで絞殺された女性の全裸死体が。

ブレイニーの脱走を知った、オックスフォード警部が部屋に駆け込む。
呆然とするブレイニーは「俺じゃない!」と・・・。
そこへ死体を運ぶために大きなトランクを運び込むラスクが部屋に入って来る。
オックスフォード警部が言う「ラスクさん、ネクタイはどこに?」・・・
ネクタイで絞殺を続けたラスクは、ネクタイが証拠になってしまう。何とも皮肉な結末です。


さて、ラスクを殺害しようと振り下ろした鉄棒だが、盗んだ車のトランクにあった。
子供の頃(昭和20年代)に見たことがある、車のエンジンを掛けるための物だ。
今はセルモーターで掛かるが、当時は車の前の穴に、この鉤棒を差し込んで回し、クランクシャフトを回転させてエンジンを掛けるのだ。
この棒の名称が分からない。スズキ自動車藻岩店の清野整備長に聞いてみると、
正式名称は分からないが、通称「クランク棒」と言われているそうだ。
39年まえの映画だが、当時のイギリスにはクランク棒があったのだ。イヤー、時代と言えば時代ですね。
清野整備長忙しいところ、ありがとうございました。


さて、ニュー スコットランドヤードのオックスフォード警部の奥さんは最近「フランス料理」を習っています。ところが警部さん、そのフランス料理が、どうにも口に合いません。
朝食は牛乳入りコーヒーにふわふわのパン、カフェオレとクロワッサンだった。
量が少ないと、署内のデスクで、ソーセージにハム、目玉焼きとバターを塗ったパンで朝食の摂り直しである。
結婚相談所でブレンダが殺された捜査の頃、ディナーは「Soupe・de・Poisson」魚のスープから始まる。
警部はスープチューリンから、皿に注がれたスープを見ただけでウンザリする。
「なにが入っているのか」と聞くと「キュウリウオ タラ アナゴ マトウダイ ニシイワシ カエルアンコウ」
(スゲー食材だ。でも知らない名前の魚もあるね)と奥様が答える。

得体の知れないスープを、スプーンでかき混ぜるのが精一杯の警部は、奥様の見ていないスキを狙って、一口も食べずにスープをチューリンに戻してしまう。
空いたスープ皿を見て奥様は「満足いただけたのね」と大喜び。
「ゴチャゴチャ」と何が入っているのか分からないスープが、難しい事件捜査で混沌とした警部の気持ちと重なっていて面白い。

メインディッシュは「Cailles・au・Raisin」ウズラのブドウ煮だ。
警部は致し方なくウズラにナイフを入れるのだった。
テーブルにはいつもフランスワインが置かれているが、警部はスコッチの愛飲家なのだ。

翌日のディナーは「Pied・do・Porc・a・la・mode・do・Caen」豚足のカン風、 臓物に使うソースだ。
警部は豚足の煮込みを、見ただけで「ウンザリ」だ。
ご夫婦はディナー中に捜査の話をするが、奥様の推理(女の感)の方が当たっている。

警部は死後硬直が始まった、バーバラの死体の指を折って、犯人が何かを回収したと言うと。
奥様がグリッシ―ニを手に取り「ポキッ!」と2つに折る。
実に効果的に使われている。警部は「普通のパンが食べたい」のにね。

ナイフを入れるピエ・ド・ポールが、皿の上で転がり逃げ回る。
事件捜査と豚足にも苦戦するオックスフォード警部の心情がよく出ているシーンだ。
ラスクが真犯人と分かると、ブレイニーの冤罪に同情した奥様はディナーに招待したいと言いだす。
メニューは「Caneton・aux・cerise」だ。
警部はたずねる「どんな料理?」と、奥様は「カモ料理 濃厚で甘いチェリーソースなのよ」と答えるのである。
 Frenzyは逆上とか凶暴の意味で、実によく出来た面白い映画である。
クラシック(モダン?)なフランス料理も必見ですよ。是非、ご覧下さい。
ところでオックスフォード警部が、本当に食べたかったのは何だと思います?
それは「ステーキとベイクドポテト」でした。
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