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みなさん新年を迎えました。辰年の今年もよろしくお願いします。


新年早々、みなさんは何を食べたかな?
やはりお節料理に雑煮だろうか。


お正月から吉野家の牛丼だという人もいるだろう。
なんと言っても年中無休24時間営業である。
スズメの鳴き声を聞かない日はあっても、吉野家が開店していない日は無いのだ。
お盆だろうが、大晦日であろうがお正月であろうが、「食べたい」と思えば、いつだって開店しているのだ。
当方の意志とは関係なく、吉野屋は「いつでもいらっしゃいよ!」と待ってくれているのだ。
考えてみるとこれはスゴイ事である。


しかし、よほどの事(ってどんな事?)が無い限り、自分から進んで吉野家へ牛丼を食べには行かない。
今まで食べた回数だって、指折り数えられる程度だ。
人から吉野家の牛丼を、「おごってやる!」と誘われても、「別の店にしよう」と言うであろう。
イヤイヤ誤解しないでいただきたい。
吉野家の牛丼が嫌いなわけではない。が、好きと言うのでもない。
「どっちなんだ!」と言われそうだが、どっちでもないのだ。


ところがだ、先日買った発泡酒の缶横に付いていた懸賞付きシールを剥がしたら、
「吉野家 牛丼並盛1杯プレゼント」が当たったのだ。(スゴイべ!)
あまりの幸運に心中「ヤッタァ!」と、小ガッツポーズなんかする始末だ。
「おごってやる」と誘われても、「すったらもの食べねぇ!」などと威張っていた勢いは何処へやらで、
早速吉野家へレッツゴーである。


吉野家はちょうどお昼時であったが、8割方席が埋まっていた。
若い男性2人が座るカウンターの向いに席を取った。
「いらっしゃいませ」とサービス係りおばさんが、注文を聞きに来た。
「あのー」と、恐るおそる小さな当たりシールを差し出した。
おばさんは「アッ!ハイわかりました」と頷きシールを受け取ると、店の奥のキッチンへ「並一丁」とオーダーを通す。
懸賞で当たった牛丼でお金も払わずに、店を出るのも気が引けるので味噌汁を追加注文した。

見ていると味噌汁もお新香も取らず、牛丼並盛だけを注文するお客様が多い。
備え付けの紅生姜を、牛丼の上に山のように乗せる人もいれば、牛丼の上が赤くなるほど、
唐辛子をひたすら振り掛ける人もいる。

「ツユダク」と注文するお客さんもいる。
いつだったか、この「ツユダク」を、吉野屋で始めて耳にした時、その意味が分からなかった。
「ツユダク」ってなんだ?
注文した若いカップルの丼の中を、そっと窺うように覗き込んだが、自分の「並盛」と何も変わっていないのだ。
そこで店員さんに「ツユダクって何ですか」と聞いてみた。
「アー!牛丼のタレを多めに掛けたものです。お汁(つゆ)をたくさん掛けるのでツユダク(・・・・)です」。
なるほどねぇ、牛丼には牛丼の世界があるのだ。


さて気が付いたら既に満席である。
入り口付近には立ち待ちのお客さんまでいるではないか。吉野家の牛丼人気の高さが窺える。
その人気の元は、なんと言っても「安い早い旨い」にある。
吉野屋は「牛丼並盛」が380円で、ライバル松屋は「牛めし並」が320円である。
どちらも実に安価である。ススキノでは吉野家と松屋の店舗が並んで営業している。
値段が若干安価な松屋の方が賑わっているようだ。


それにしても、日本で日々どれほどの人たちが、吉野家の牛丼を食べているのだろう。
毎日のように、イヤ1日3食、吉野家の牛丼を食べている人もいるそうだ。
「カレーライス」「ラーメン」と共に、日本の国民食と言えるだろう。

BSE問題で米国産牛肉が輸入制限され、日本から牛丼が無くなると大変話題になった。
それほど感心の高い食べ物である。牛丼の中身は「牛肉、タマネギ、ご飯、タレ」で至ってシンプルだ。
それゆえに、ごまかしの利かないストレートさがある。
牛丼の味で一番大切なのは、牛肉のようだが、実は「ご飯」である。
「牛肉だ、タレだ!」などと叫んでも、神代の時代から日本人が慣れ親しんだ、ご飯の美味しさが牛丼の味を決定付けるのだ。


食べてみると、以外と言っては失礼だが「おいしい」のだ。また食べたくなるクセになる味である。
僕達料理人は普段家庭では味わえない、「非日常的」な料理を作っている。
しかし非日常的な料理を毎日食べると飽きるだろう。
それに比べると吉野家の牛丼はあまりにも「日常的」で飽きない味である。
いわゆる「賄料理」と言っていいだろう。だからこそ、毎日のように食べられるのだ。

牛丼を食べていると、向かいの席の若者にも牛丼が運ばれて来た。
その食べ方が、「一気飲み」ならぬ、「一気食い」である。牛丼1杯掻っ込むように食べる。
5分と掛からないのだ。味わうというより、空腹が満たされればいいような食べ方だ。 


この時、ブリア=サヴァランの格言を思いだした。「国民の盛衰はその食べ方いかんによる」。
未来を担う若者が、このような食べ方で良いのだろうか・・・。
料理人は美味しい料理を作るだけではなく、これからは料理の食べ方、味わい方も伝え広めて行くべきではないだろうか。

僕は牛丼を食べ終え、サービスのおばさんに「儲からない客でスイマセン!」と言い、
味噌汁の代金50円をカウンターに置き、満席の吉野家を後にした。
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